はじめに
「エンジニアの仕事を“加速”させる」ことを掲げる AI コードエディタが続々と登場する中、VS Code 拡張ベースから一歩踏み出した Cursor と Windsurf は、とくに注目を集めています。両者とも GPT-4o や Claude 3.5 Sonnet など最新モデルを裏側で利用しながら、ローカル IDE でのシームレスな体験にフォーカスしている点が共通項です。では実際に導入するなら、どちらが自分のワークフローに合うのでしょうか。特徴・料金・エンタープライズ対応まで、2025 年4 月時点の最新情報で比較しました。
1. プロダクト概要
項目 | Cursor | Windsurf |
---|---|---|
開発元 | Cursor, Inc.(2022 年創業) | Codeium, Inc.(2021 年創業、2024 年に「Windsurf」へリブランディング) |
形態 | VS Codeベースの独立ビルド (拡張版も提供) | 独自ビルドのAIネイティブ IDE+VS Code/JetBrains向け拡張 |
AI機能 | Composer:複数ファイルを横断してリファクタ/テスト生成 Ask:コードベースQA | Cascade:エージェントがタスクを分割し自動実装 Context Graph:リポジトリ全体を知識化 |
オフライン対応 | モデル推論はクラウド、コードはローカル保存 | 同上(Enterpriseでオンプレ/VPC可) |
リリース | 2023 年β→2024 年正式 | 2024 年末正式リリース |
(詳細:Cursor公式機能紹介 Cursor – The AI Code Editor、Windsurf Editor紹介 windsurf.com)
2. 料金プランの違い
プラン | Cursor | Windsurf |
---|---|---|
Free/Hobby | 無料/月25 高速リクエスト・5 GPT-4o等プレミアム呼び出し | 無料/月25 クレジット(Cascade Baseは無制限) |
Pro | $20/月(GPT-4o高速500回/月、低速無制限) | $15/月(500 クレジット/月) |
Business/Teams | $40/ユーザー/月 | $30/ユーザー/月+SSO・RBAC 等 |
Enterprise | 規模別見積り(セルフホスト可) | 同左(ハイブリッド or 完全オンプレ) |
ポイント
- コスト重視なら Windsurf:同程度の高速トークン量を $5~$10 安く提供。
- 無制限 GPT-4o が欲しいなら Cursor:低速呼び出しに回せば月内上限なし。
3. 機能比較で見る強み・弱み
観点 | Cursor | Windsurf |
---|---|---|
自然言語→コード変換 | Composer が関数単位/ファイル横断で修正。依頼→プレビュー→適用が1画面 | Cascade が タスク自動分割。テスト失敗を検知するとリトライまで自動実行 |
コードリーディング支援 | Ask が「◯◯の実装場所は?」など質問に即リンク | Context Graph が依存関係を可視化し、関係ファイルを提案 |
多言語対応 | 40 + 言語 | 70 + 言語(Rust・Solidity など) |
拡張エコシステム | VS Code Marketplace互換 | 独自プラグイン+VS Code拡張 |
価格柔軟性 | Pro 1択 → Business | Free / Pro / Teams と細かく分割 |
ロードマップ | モデル選択:GPT-4o / Claude3.5 / Gemini予定 | Agent機能拡充(UIテスト自動修正など)+OpenAIによる買収交渉中 |
4. エンタープライズ導入視点
項目 | Cursor | Windsurf |
---|---|---|
SSO / RBAC | Businessプラン~ | Teamsプラン~ |
デプロイ形態 | SaaS / セルフホスト | SaaS / Hybrid VPC / 完全オンプレ |
価格スケール | $40/ユーザー⤴︎(交渉可) | $30/ユーザー⤴︎(ボリュームディスカウントあり) |
セキュリティ監査 | SOC 2, GDPR, HIPAA β | SOC 2, ISO 27001, GDPR |
5. どちらを選ぶ?ユースケース別おすすめ
ユースケース | おすすめ |
---|---|
個人開発・副業で GPT-4o をたくさん使いたい | Cursor:低速枠無制限でコスト予測しやすい |
価格を抑えつつ Claude3.5 も併用したい | Windsurf:$15/月で500 クレジット |
チームでSSO管理しながら IDE を統一したい | Windsurf Teams:RBAC・Hybrid配置が標準 |
既存 VS Code 拡張の資産を活かしたい | Cursor:VS Code互換が高く、設定移行が容易 |
長期的にAIエージェントでリファクタを自動化したい | Windsurf:Cascade のタスク分割アーキテクチャが秀逸 |
6. 今後の展望と注意点
- モデル課金の変動に要注意
Windsurf は 2025 年初にクレジット制へ移行し、短期間で改定を重ねています。導入時は社内使用量をモニタリングし、追加クレジット費用が跳ねないか試算しましょう。 - 買収・資本戦略の影響
Windsurf は OpenAI による 30 億ドル規模の買収交渉報道があり、契約条件が変わるリスクも無視できません。 - Cursorは急成長ゆえの機能追加競争
Composer → Chat Agents → データベース自動モデリングなど、短スパンで大型リリースが続いています。新機能の安定性を見極めつつ導入するのが吉。
まとめ
一言で表すなら… | Cursor:「無制限GPT-4oで“書く&直す”を高速化」 Windsurf:「Cascadeエージェントで“考える→実装”まで自動化」 |
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- 個人~小規模開発者が「大量にプロンプトを投げたい」「料金を気にせず実験したい」なら Cursor が相性◎。
- チーム開発でAIをCI/CDパイプラインに組み込みたい、または エージェントの自動化に魅力を感じるなら Windsurf が一歩リード。
どちらも無料プランで試せるため、まずは1週間ずつ実案件を触り、実際のフローで「どちらが自分の思考を邪魔しないか」を比較するのがベストです。
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